学生時代、産学官共同研究の名の元に「被災者支援情報システムの研究・開発」に取り組んだ。
かれこれ約10年が経過した今、東日本大震災における状況と情報システムを取り巻くハード/ソフトの環境の変化を鑑みて、現在多少なりとも携わっている業務上のシステムにも関係するため、いま一度、自分なりにまとめてみたい。
とにもかくにも、まだ復旧途上にある被災地の皆様が、できるだけ早く日常が取り戻されることを切に願います。
※微々たる協力ながら、できること(募金とか)は継続していきたいと思います。
はじめに
昨今、インターネットに接続できる環境が多様化され、多くの方々がより身近に接するようになっている。
当初はパソコンという大きな機器が必要であったり、回線工事が必要であったりと敷居が高かったが、携帯電話、スマートフォンなど小型で、その機器さえあれば利用可能となったことが大きいだろう。
また、これにより企業単位、家族単位などグループ単位の利用から、より個人のために利用するケースが増えている要因ともいえる。
このような社会の中で、東日本大震災においても「twitter」などインターネットサービスが役に立ったという記事を目にすることも少なくなかった。(具体的にどのような利用形態として活用されたかは、それ自体で研究が必要だと考える。)
緊急時における情報とは
実際に”緊急時”とはどのようなことが想定されるのか?具体的には、地震による震災の他、大雨などの自然災害やインフルエンザなどの健康被害に関する事態が想像される。
ここで挙げた通り、”緊急時”といっても様々な状況があるが、いずれも個人としては即時に最新の状況を知り得たい情報であることに変わりがない。このような情報が「緊急時における情報」であると考えられる。
緊急時における状況と情報の関係
緊急時における状況は、その緊急事態それぞれにおいて大きく状況が異なる。それぞれにおいて、どのような状況になり得るのかを想定した中で、求められる情報をどのように管理していくのかを考慮しなければならない。
その時々の状況下において、【コミュニケーション手段】、【情報ニーズ】を的確にとらえ、情報を必要とするひとに最適な情報を配信する必要がある。
【コミュニケーション手段】
大規模な被害が発生した場合はハード面の損傷が少なからずある中で、デジタル機器だけに依存してはならない。
電気が寸断された中では、テレビは元より電気機器は利用することもままならない状況である。
したがって、情報の配信手段としてはアナログ媒体(紙など)により確実に情報を伝達する手段を講じる必要がある。
ライフラインの被害状況により地域ごとの情報格差が発生することは免れないが、最低限の情報(必ず求められる情報)に情報格差を可能な限りなくすよう努めることも重要であろう。
復興にITをどういかす? 慶應義塾大学で「IT復興円卓会議」
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20110414/1035222/
「ITありきではなく、まず被災地が主体であり、そのニーズを知り、必要があればITを使う。そうした認識に基づいたIT活用を」
実際に平時であるうちに、ITは支援ツールであるという認識の下、必要な情報をどのように届けるかを考えておく必要がある。
【情報ニーズ】
大規模、広範囲にわたる緊急事態であるほど、情報はターゲットユーザーが多様化し、且つ、状況の変化により情報の種別・性質も変化する。
ターゲットユーザーとは、緊急時における情報を要求する利用者とする。
<考えられるターゲットユーザー>
被災者は安否情報、被害情報、支援情報などが必要であることは当然である。その情報を的確に伝達するべき被災者を管理(という言葉は適切ではないかもしれない)する者も伝達するためには情報が当然ながら情報を必要とする。
また、迅速かつ継続して支援する者にとっても情報がなくば、適切な支援を実施することもできない。
これらのターゲットユーザー区分は広域になるほど、状況に応じて地域という属性を持って細分化される可能性もある。
<情報の変化>
緊急時の要因発生から時間の経過(=支援・復興の進度)により、情報は変化していく。
「家庭での危機管理―時間的経過によるニーズの変化と問題点」(林 春男(京都大学防災研究所地域防災研究センター助教授))http://www.blog.crn.or.jp/lab/06/20.html によれば、下記の通りである。
- 緊急期
- 応急期
- 再建期
人命・安全に関する避難情報や安否情報に始まり、復旧に向けての支援情報、復興に関する情報へ変化していく。
これらは端に”時間”の経過により変化していくのではなく、様々な要因(被害状況、支援状況など)により、その地域、もしくはより小さい単位でのグループ・家族・個人により変化していく。
緊急時における情報のあり方
緊急時であるからこそ、情報は正確に迅速に伝達し、されることが重要である。
その情報が「いま、誰に必要なのか?」を認識し、必要とされるユーザーに的確に届けられる手段(Webサイトではインターフェース、デジタル機器の使用が困難な場合は紙など)をもって配信される必要がある。
緊急時からその事態が収まる(=完全なる復興を遂げる)まで、変化に応じた最適な情報が届けられることを望む。
最後に
緊急時では、拠り所となるのは国や自治体となる。その中、自治体は当然、その自治体およびその職員が被災される可能性が限りなく高く、すぐに支援体制を採ることは困難が伴う。(これは、当然に考えられるが基本的にはその自治体が支援してくれることを望まれている。)
特に緊急期において、近隣および予め定める遠隔地の提携都市等の連携を平時から整え、代行する手段を採れる体制づくりを望みたい。
また、情報収集・伝達能力ではメディア(テレビ・ラジオ・新聞社)の力は大きい。これらメディア・ネットワークとの協力のもと、最も情報を必要とするユーザーに情報を提供することも期待したい。
